塾長インタビュー

安西塾長(以下A)、矢上祭実行委員(以下Y)


Y:さっそくなんですけれども、まず矢上祭についてお伺いいたします。慶應義塾大学には現在五つの学園祭があり、それぞれにカラーが存在しています。その中で矢上祭について塾長はどのような印象をお持ちでしょうか。


A:矢上祭は確か私が学部長をやっていたときにできたのだと思います。やはり矢上の場合は科学技術関係の学生さんが中心です。どうしても、みんなで盛り上がるというよりは、研究室単位で分かれてしまう感じになるので、皆で盛り上がれる学生主体のお祭りがあるといい、と前から思っていました。矢上祭の特徴というのは、教職員、そして学生が一体となって、それで盛り上げるところがいいと思います。それから、とくに矢上の場合、日吉の地域の人たちとも非常に親しくお祭りをやっていますし、最近ではゴミの処理、後の整理もとても行き届いています。そういう意味では、学生がリードして運営している学園祭としてはとても素晴らしいと思っております。


Y:ありがとうございます。今年度の第8回の矢上祭のテーマを、「infinity」としたのですが、これについてはどう思われますか?


A:(∞のロゴを見ながら)さすが理工学部ですね。他の文系の学生がこれを見ると「これは何かな、輪じゃないか」と思うでしょう(笑)。もの凄くおもしろいです。矢上らしいし、夢がある。とくに若い人たちの未来が無限だ、という感じがものすごくあって、そこから自分たちでinfinityってテーマを考え出したのだとすると、私はとてもうれしく思います。


Y:それでは続いて、学生時代のお話を聞きたいと思います。塾長が学生時代に一番頑張っていたことは?


A:一番頑張ったのはラグビーです。ポジションはフォワードの1番4番8番でした。私がラグビーを始めたのは大学からで、練習は本当に大変だったのですよ。でも頑張った。最後までしっかり続けたのは一番の思い出だし、それは今でも自分の力になっています。


Y:ありがとうございます。では、その経験が今の人生に活かされていると思う瞬間っていうのはいつですか。


A:ラグビーというのは15人でやるスポーツで、そういう団体スポーツでは、目立たない人が、一生懸命力を出してやってないと勝てないのです。派手なポジションの人だけが何かやる、ということではチームとしてはまとまりもないし、本当の力は発揮できません。このことは、どんな組織―企業や大学―でも同じだと思います。私の塾長という立場は、慶應義塾という大きな組織をまとめる役割があります。そのときに、ラグビー、とくに泥臭いポジションをやっていたという経験は非常に役に立ちます。慶應義塾には学生だけではなくて教職員が約5000人いるわけで、地道な仕事をしている人のバックアップがあってこそ、組織として成り立っているということを感じますね。


Y:まさにラクビーと慶應義塾が重なるような世界なのですね。それでは、慶應義塾大学の学生に対して何かメッセージはありますか?


A:とくに伝えたいことは、夢を持ち続けてもらいたいということです。ただ、中には夢を持てない学生もいます。でももし仮に夢が持てなかったとしても、毎日を一生懸命過ごして、その一日一日を大事に使ってほしい。たとえつらいことがあったとしても、そこをぐっと我慢して、その一日を一生懸命過ごしてもらいたい。そうしていれば、その一日一日の積み重ねが必ず良い結果を生みます。それが言いたいことです。


Y:最後に、慶應150年記念についてお伺いします。来年に慶應義塾は150年を迎えるわけですが、塾長は今後の慶應義塾の姿についてどのようなことをお考えですか。


A:これからの慶應義塾の姿として私が念頭に置いていることは、まず、国際的にトップレベルの大学になる、ということです。そういう意味では義塾はもっと頑張らなくてはいけない。2番目は、塾生のための大学、ということです。私は一人でも多くの塾生が目を輝かせて、楽しく、そしていろいろなことを吸収し、羽ばたいていってくれるキャンパスでなくてはいけないと思っています。そして三番目は、未来の先導をしていきたい、ということです。

三番目の"未来の先導をしていくこと"に関してですが、近代の総合学塾で創立150年を迎えるというのは日本では慶應義塾が初めてです。慶應義塾は幕末、明治維新より10年前に福澤先生が造った学校ですけど、この150年間というのは日本の近代化の歴史そのものです。幕末から明治維新を経て明治時代になって、それこそ工業とか産業が相当急速に生まれてきて、その後戦争があり、戦後があって、それで今に至っている。その150年の日本全体をリードしてきた、先導してきた大学が慶應義塾なのですね。その慶應義塾は日本のこれからの150年も先導していくという使命を全うしていきます。そして、その「未来への先導」というのが創立150年記念事業のテーマです。

国際的にトップレベルの大学になること、塾生のための大学であること、そして日本の未来を先導する存在であることの3つを挙げました。これら3つを慶應義塾はすべてこれからやらなければなりません。だからそういう学校にいることを誇りにして、実行委員として頑張ってください。


Y:はい。

本日はどうもありがとうございました。安西塾長のメッセージを大切にして、これからの学生生活を充実させたいと思います。